プアマンズ・アンジェニュー。

TOKINA AT-X Pro 28-70mm/F2.8 

事前の下調べ無しで思いがけずに得た楽しさって、なんだか得した気分になりませんか。トキナーの古い標準ズームは、そんな楽しい出会いでした。


ジャンクのトキナー AT-X Pro 28-70mm/F2.8を見かけました。お値段なんと1,100円。ニコン用の標準ズームを手放していたこと、何より大三元に匹敵するF2.8の明るさに惹かれてつい買ってしまいました。


しかしD800に装着して室内で試写してビックリ。開放F2.8のファンタジーな描写は、とてもマルチコーティング時代のレンズとは思えません。なんだこのレンズはと訝しんで調べたところ、面白いことが分かりました。


このトキナーの28-70mm F2.8ズームレンズは、映画用レンズで有名なフランスのアンジェニュー社にOEMしていた製品で、自分が手にしたモデルはアンジェニューが撤退後にトキナーがアンジェニューのMF重視のデザインを取り入れるなどしてプラッシュアップしたモデルだったようです。このあたりはトキナーのブログの残骸に詳しく説明されています。

つまり製造と銘と値段はトキナーだけど、中身はアンジェニューが高額で売っていたレンズとほぼ同じ。それが良いか悪いかは別にして、がぜん興味が湧いてきます。


暖かくなった春の日に、久しぶりにワクワクしながらニコン D800を持ち出して試してみました。

この描写がアンジェニューの意図的な画作りなのか、設計が古く安価な大口径ズームレンズの必然なのかは分かりません。純正のニッコールレンズが高いからとこのレンズを買った人たちが、欠陥品だと怒ったというのも理解できてしまう描写です。


しかしアンジェニューの表現だと感じて楽しめる人には、最高にお買い得で楽しいレンズではないでしょうか。もし中古屋でホコリを被っているこのレンズを見かけたら、手にしてみるとハマるかもしれませんよ。

Monochrom Welt

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