もう一度、プラナー。

 Carl Zeiss Planar T* 50mm F2 ZM

数多くあるライカ用 50mmレンズの中でも、カールツァイスのプラナーは地味な存在だと思います。でもレンズではなくライカを楽しむには、それくらいでも良いのかもしれません。


ライカを購入してから、色んなレンズを試しました。伝説のオールドレンズとか究極の性能といわれる高価なレンズも含みます。しかし結局、レンズで自分の写真が変わるわけではありませんでした。不便なライカに写るのは、その人の生きている世界でその人が見ているものだけなのだと思います。


とはいえライカが楽しいことには変わりません。出かける時に持っていきたいのはやはりライカなのです。


ただ、高価な「凄いレンズ」は、万一の転倒やキズなどの事故リスクを気にしてしまう部分もあり、もっと気軽に何の理由もなく使えるレンズがほしい。そう感じるようになり、自分が普段遣いのレンズに求める条件を整理しました。


最短70cm。

クセのない描写性能。

軽量かつコンパクト。

美しいデザイン。


しかし、これを満たすレンズって案外ないんですよね。普通はズミクロンを選ぶのでしょうが、高価なライカレンズでは今までと変わりません。そう考えると、以前につまらないと感じて手放したプラナーが適役のように思えてきました。


プラナーのレンズ構成は19世紀に開発されたプラナー型、一般的にはダブルガウス型と呼ばれる光学系。テッサー型がエルマーやクセナーなど無数のレンズに利用されたように、ダブルガウス型も3rd以降のズミクロン 50mmを始め、無数のレンズに利用されている実績ある光学系です。それゆえに退屈とか無個性とか言われるわけですが、これ以上に普段遣いにふさわしい光学系もない気がします。


使っていないレンズをいくつか処分したこともあり、3~4年ぶりに購入し直したプラナーは、雨の森の中でも気楽に付けっぱなしに出来て、常に期待通りの結果を出してくれるレンズでした。

自分が標準レンズに求める要素を全て備えたプラナーは、普段遣いのライカの、普段遣いのレンズとして愛用することになりそうです。


名玉やクセ玉を遊んで回って、でも普段遣いには超高性能とかクセとか別に必要ないんだよな・・・と思ってしまう人は、プラナーの素直さが新鮮に感じられるのではないでしょうか。

Monochrom Welt

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