上善は水の如し、名玉は空気の如し。

Carl Zeiss Tessar T* 3,5/35 M (宮崎光学改造) 

世に名玉は数あれど、カールツァイスの歴史的な傑作であるテッサーは自分が最も好きなレンズのひとつです。


ただテッサーが高嶺の花だったのはせいぜいWW2の頃まで。WW2後はゾナーやプラナーなど更に複雑なレンズが主役になり、テッサー及び3群4枚テッサー型のレンズは普及品の位置づけになってしまいました。しかもカメラの主流が一眼レフに移ったり、そもそもカールツァイスとライカが競合だったなどで、カールツァイスの誇るT*コーティングを施した、オリジナル3群4枚構成なライカ用テッサーは自分の知る限り存在しないのです。


残念に思っていたのですが、テッサー T* 35mm f3.5を搭載した京セラ TDのジャンク品が手に入ったので、宮崎光学さんのレンズ改造サービスに持ち込んでMマウント改造してもらいました。結果、ボディキャップ並みの薄さで距離計連動の、美しいライカ用テッサーに仕上げて頂くことが出来ました。

宮崎光学さんで改造して頂いたテッサーは、実に普通に写ります。


廉価な割によく写るテッサー型のレンズは世界中で無数に製造されてあまりにありふれているためか、昨今のオールドレンズブームの中でもテッサーは描写の個性が云々されることもあまり無いように思います。「普通に写る」の基準はテッサーの写りで、無色透明の空気のような個性。


それこそがまさに、テッサーが歴史的な名玉であることを示しているように思います。

Monochrom Welt

日々の中のモノクロームを綴るブログ。

0コメント

  • 1000 / 1000